自分の言いたいこと思ってることが分からない。
言いたいこと思ってることが分からないというよりどう言えば皆や母が喜んでくれたり面白がってくれるのか考えて喋っていたら自然と自分の考えらしきものが分からなくなった。
でもそれは皆同じなんだろう、違いはそれを意識するかしないかだけなんだろう。
皆、「この立場の人間だからこの発言をしなければならない」と頭のどこかで台本を作りながら生きているのだろう。そう考えると人生は長いお芝居みたいなものかもしれない。

例えば飼ってる猫が可愛いと発言するときも無意識のうちにお芝居する。
家族皆に聞こえるように、わりと大きな声で、でも優しげな声で「猫が可愛い」と言う、もちろんここでとびきり優しげな笑顔も忘れてはいけない、私は猫を可愛がる純朴な女子高生を演じているからだ。

物心ついてからたった一回だけでも誰の目も気にせず等身大の自分の気持ちを発言した人などいるのだろうか。
そもそもどこからが本当の自分の気持ちなのか分からない人ばかりじゃないのか。
大体本当の自分の気持ちなんてものも胡散臭い。
ただ人の目を気にして人の欲しい言葉を考えてやっと発言した言葉が今いる自分の現状を表していることは確かだと思う。